あのときなくしたものの代わりはみつからない

山田葉子50代女性

タグ: 宮城 津波

震災から10年。⻑くも感じるし、短くも感じる。振り返ってみても、現実なのか、非現実なのかわからなくなる。良いことも悪いこともたくさんあった。けれども、震災で失ったものの重さは軽くならず、切なさが募る。震災直後、避難所で過ごした数日間に起こったこと、感じた切なさ、つらさ、悲しみがより鮮明になってくる。震災を経験して、新しい縁も生まれ、楽しいこともたくさんあった。だけど、楽しければ楽しいほど、あの瞬間のつらさが強くなる。

あのとき、どう行動していたらよかったのか、あの人にこう伝えていれば、後悔が日を追うごとに増してくる。震災から5日目に、友人の子どもが行方不明になっていることを始めて知った。津波の恐怖をもっと伝えていたら、ちゃんと逃げてくれていたかもしれない。震災直後に、友人の家に子どもを探しに行っていれば、助けられたかもしれない。

私は家族を亡くしていない。だけど多くの知人が亡くなった。病気だったらあきらめもつく。でも、災害で人を亡くすのは違う。あのときなくしたものの代わりは見つからない。この思いは一生背負っていくものだと思っている。

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