愛知県にいた時は、同じように避難してきた人たち何人かと知事公舎に入れてもらって、知事とも話したことがある。避難者の話を聞いてくれて安心材料だった。お世話になった。2017年3月に住宅支援が切れることもあって帰還した。福島に帰ってから家の脇に自分で建てた倉庫が、2019年10月の突風被害に遭って壊れた。倉庫の中においていた愛知から持って帰った物が全部吹っ飛んでなくなってしまった。倉庫の材料代50万円分もなくなった。今は82才になった。元気だけれど先行きが短くて不安だ。妻は耳が遠くなって大声で話すから、まるで喧嘩をしているようだ。手足や腰などが痛くて食事が作れないから、自分がこの25年間、毎日3食作っている。ホッキ飯を作るが、「また?飽きた!」と妻に言われる。こっちは雪はないけど海からの強い風が吹き、それが寒い。毎日テレビを見て過ごしている。たまに老人福祉センターに弁当を持って行って友だちと話をするが、原発や避難の話は全くしない。