震災があって良かったと思うことはありますか?

齋藤元気20代男性

震災時居住地:宮城県

現居住地:東京都八王子市

タグ: 宮城 地震

この10年間、被災体験の伝承活動を通して、このような問いを何度もいただいた。震災があって良かったと考えたことは一度もない。だからこそ私は被災という「負の遺産」を、自分の人生や未来の社会において少しでも「前向きで、意味のあるもの」に“変えていく”ための努力をしてきた。
内陸で被災した私にしか伝えられないことがある、そう信じながら、津波の危険性のない東京の内陸部で、自分の心と体に刻まれた震災の教訓を“次の被災地を生まないように”という想いで伝え続けてきた。
「津波の被災地に比べたら大したことないね」「もっと大変だった人がいるから何も言えないね」大々的に報道された被害と比較・評価され、時には被災者が被害の大小を語ることもあった。私が失ったものは、他人と比べられるものなのか。悔しさを抱えながら多様な被災の現実を伝え続けている。
この10年間、『被災した経験や被害の大きさは比べるものではない』ということを改めて実感した。震災によって一人ひとりのかけがえのないものが失われたのだ。誰かと比較しなくていい。一人ひとりの体験を未来につなげることで、「負の遺産」を未来への願い・希望に変えていくことが大事なのだと思う。