避難者と市民の垣根を超えて―東北の人たち、大好きです

避難者と市民の垣根を超えて―東北の人たち、大好きです  渡辺美恵

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 私の住む西東京市にお暮しの3.11避難者の方々はどなたもやさしくて、前向きで、思慮深い方ばかり。おしゃべり上手でもてなし上手、褒め上手に聞き上手におしゃれ上手…今は、東北人のかつての概念はことごとく塗り替えられました。私は東北の人たちが大好きです。

 でも、初めてお会いした2011年8月の時はどなたのお顔も暗く、心配そうでした。それはあたり前ですよね。あの大惨事から逃れてこられたつらい日々を思うと、とにかくこの地で安心して暮らしていただきたいと思うばかりでした。

 その後、避難者と支援者の交流会「元気か~い」や、過酷な避難体験の聞き書き集『3.11の現実―そして、私たちはこの町にきた』出版を経て、行政や社協や町の団体ともつながりを深め、市民と触れ合う場も増えてきました。そして、生来の才能を発揮され、市民の人の輪に溶け込むだけでなく、活躍の場も見つけてこられました。

 10年という月日は、避難者という枠から解放され、個人の個性や特技を発揮できる、出番と居場所と仲間を得ることができたように思います。そこには社協の孤立化防止担当者や福島県人会など避難者の心に寄り添い、支援し続けてきた人びとの後押しがありました。

 そして、3.11の風化が懸念される今だからこそ語り継ぎたいと思い、『3.11から10年―東北被災者と西東京市の人びとが紡いだ日々』を市と協働で発刊しました。これは、わが町の人びとが被災者・被災地を支援し続けてきた協働の記録集でもあります。10年は節目であっても終わりではありません。私たちはこれからも東北避難者の方々とともに歩み続けてまいります。